つい先日の話です。
髪を切ろうと美容室に行きました。いつもお世話になっている、行きつけの美容室です。
私の髪を切ってくれる人も決まっていて、その日もいつもと同じ、小柄な女の子が私の担当になりました。
カットのイメージを伝えているうちに、前髪だけ部分パーマを当てたらどうかと薦められました。ちょうどイメージチェンジをしてみたい時期でもありましたので、薦めに乗って髪型を変えてみることにしました。
言うまでもないことですが、美容室にはパーマ台という器具があります。温風の出るヒーターで上下左右を囲ったり、筒状のものを被せたりして、パーマ液の効果を促進させるのです。軽いパーマの場合は自然のカールだけで済むときもあるのですが、私の場合はパーマ台を用いての作業でした。
女の子がパーマ台を牽いてきました。じゃあちょっと温風当てますね。そう言って、私の頭に器具をセットしはじめました。
私は鏡越しに、一連の作業を眺めていました。そうしたら、奇妙なことが起きたのです。
鏡に映っているパーマ台が、いつの間にか電気椅子に変わっていたんです。
もちろん本物の電気椅子を見たことはありません。しかし私の頭に取り付けられようとしているそれは、間違いなく洋画などで見る電気椅子の器具に酷似していました。
女の子は黙々と作業を進めていきます。左右を見ても、誰も驚いている様子はありません。私だけがその映像を見ているのか。それとも後ろにあるのは本当に電気椅子なのか。
私は振り向きました。そこにあるのは、やはりパーマ台。女の子が怪訝そうな表情で私を見ていました。
何でもないです。安堵を隠して、視線を鏡に戻しました。そして私は、悲鳴を上げました。
鏡には変わらず電気椅子が映っており、今度は女の子の姿までもが、看守の制服に変化していたからです。
私は器具と女の子を突き飛ばし、美容室のドアを押し開けると、カーラーと前掛けをつけた格好のまま、一目散に家へと走りました。
翌日。さすがに悪いことをしたと反省した私は、カーラーと前掛け、それに菓子折を持って再び美容室へ向かいました。
美容室はシャッターが降ろされていました。どうしたのかと思い、すぐ隣りの雑貨屋に尋ねてみました。
何でも昨日、パーマ台の故障で客の一人が感電死して、業務停止になったそうだよ。雑貨屋の主人によるとそういうことだそうでした。
それを聞いた私は、背筋が凍り付きました。故障していたパーマ台とは、きっと私に使われようとしていた、あのパーマ台に違いない。そう思いました。
鏡に映った奇妙な光景。あれはこのことを教えようとしていたのでしょうか。
映像の恐怖から逃げ出したことにより、私は命拾いをしました。感電死したというそのお客にも、私と同じような映像が見えていたのでしょうか。今となっては、わかりません。


